現代は高齢者もスマートフォンやパソコンを使い、ネットバンキングやFXなどを行っている人も少なくない時代です。しかし、その方たちが死んでしまったらそれらのデジタル遺品はどうなるのでしょうか?
デジタル遺品は、ID設定やパスワードなどが設定されているため本人しかわからないものが多く、場合によっては遺族がトラブルに巻き込まれることもあります。
また、家族にも教えていないアカウントなどを持っていることも多いようです。
そのようなときに発生するトラブルを防ぐために「デジタル終活」と呼ばれる高齢者が使用しているデジタル物品の整理をしていく必要性が徐々に認識されるようになってきました。
しかし、「人生の終活」は知っていても「デジタル終活」を知っている人はまだ少ないようです。
今回は、デジタル終活についてご紹介いたします。これを読むことで、デジタル終活を行うきっかけになっていただければと思います。
目次
デジタル終活とは
「終活」とは、2010年ごろから流行した言葉です。
実際に「デジタル終活」という言葉をテレビ以外で聞いたことはありませんし、私自身使ったこともありません。
しかし、私自身が高齢になり、自分が死んだ後にスマートフォンやパソコン内のデータや、デジタル遺産などの処理で遺族が困らないように、生きているうちに整理しておかなくちゃと思うようになりました。
私が現在使用しているデジタル品は次の通りです。
・パソコン
・スマホ
・ネットバンキング
これらのデジタル品にはパスワードやID設定がされているため、私以外の人が情報を取り出すことができません。
ですから、私に万が一のことがあったときにアカウントやデータの整理、パスワードをまとめたりしておくことにしました。
こういった行動を始めることを「デジタル終活」と呼ぶそうです。
デジタル終活の普及とデジタル遺品の相続で苦しめられる人がいなくなるようにという目的で、日本デジタル終活協会という団体が2016年に設立されていますが、現状ではデジタル遺品についてはまだ法整備が十分に整っていないようです。
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デジタル終活の整理が必要な理由とは?
デジタル終活の整理が必要な主な理由は、自分が亡くなったあと遺族に迷惑をかけないようにするためです。
私の場合、デジタル遺品を整理せずに死んでしまった場合に想定される事案には次のようなことがありました。
・ネットバンキングの口座についての情報が家族にわからない
・パソコンにパスワード設定がしてあるため開くことができない
・スマホにパスワード設定がしてあるため閲覧できない
このようなことを未然に防止するため、次の対策を取ることにしました。
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遺族を経済的トラブルから守るための方法
私はネットバンキングをパソコンやスマートフォンで行っています。
そのため私だけしか知らないことがあります。
パスワードやID、口座番号などです。
デジタル遺産があることを知らずに遺品整理を終えてしまったら、相続できる遺産を放置してしまうことにもつながってしまうのです。
遺族がデジタル遺産を把握していなかったら、株取引などを行っていた場合には、株価が落ちて知らないうちに大きな損害を被っていることもありえます。
また、定期購読しているサービスは、本人が死んでしまった場合でも解約しなければ、支払い続けることになってしまうのです。
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見られたくないものと残したいものを整理するための方法
スマートフォンやパソコンのデータには、誰にも見られたくないものも、遺族や同僚に引き継いでもらいたいものもあるでしょう。
自分が不倫していた証拠となる写真やメール、自分のプライドが傷つけられるような写真やデータは誰にも見られたくないでしょうし、家族との写真や仕事上の大切なデータなどは自分が死んだあとに遺族や同僚に引き継いでもらいたいでしょう。
自分の死んだ後に、見られたくないものは誰にも見られないように、残したいものは遺族や同僚にわかるようにするためにデジタル遺品の整理は必要です。
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デジタル終活整理の進め方とは?
デジタル終活の整理する必要性が理解できたとしても、どのように進めて行けばわからない方のために、デジタル遺品を整理するための方法をご紹介いたします。
手順は以下の通りに行うことをおすすめします。
1.知られたくないものと知って欲しいものを分ける
2.知られたくないものの整理の仕方について理解する
3.アカウントの整理をする
4.デジタル遺品リストノートを作成する
それでは詳しく解説していきますね。
デジタル終活整理の方法①知られたくないものと知って欲しいものを分ける
最初は、家族に「知られたくないもの」と「知って欲しいもの」に分けることから始めましょう。
この作業はパソコンでリストを作成してもよいですし、手書きでリストを作成してもよいです。
重要なことは「知って欲しいものは最終的に紙に残しておかないと意味がない」ということです。。
パソコンで作成した場合は印刷しておきましょう。
知って欲しいものは、以下のことをしっかり明記して残しておくことをおすすめします。
・誰に知って欲しいか
・どこに保存してあるか
・処理の仕方
・IDやパスワードなど
これらのことをできるだけ細かくメモしておいた方がよいと思います。
デジタル遺品整理の方法②「知られたくないもの」の整理の仕方をマスターする
自分が死んだあとに誰にも知られたくないものは、消去してしまうことが一番確実です。
しかし、家族にも知られたくないものでも、自分が生きているうちは残しておきたいものもありますよね。
「知って欲しいもの」のリストをきちんと残しておけば、遺族はパソコンやスマートフォンを必要以上に調べたりする可能性は低いでしょう。
それでもわかりやすく保存してある場合には、見つかってしまうかもしれません。
見られたくないものは、関係のない名前を付けたフォルダに保存し、さらにパスワードをかけたり、非表示設定にしておいたりすれば見られる可能性はかなり低くなるでしょう。
また、自分が亡くなったあとに知られたくないデータを削除するしてくれる死亡時自動削除・遺言ソフトを利用してもよいと思います。
しかし、どんなに工夫をしていたとしても、見つかってしまうことがあるので、心配なら消去することをおすすめします。
デジタル遺品整理の方法③アカウントの整理をする
TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSのアカウントや、登録しているサイトのアカウントなど多くのアカウントを持っている方もいるでしょう。
全てのアカウントを異なるパスワードで登録している方はあまりいないと思います。
ひとつのパスワードが漏洩しただけで、多数のアカウントにログインされ悪用される可能性があるので、そのようなリスクを避けるためにも、使わなくなったアカウントは退会しておくことをお勧めします。
これもしっかりと紙に明記して家族がログインできる状態にしておくことが大切です。
パスワードやIDは英数字の組み合わせであることが多いですね。
例えばアルファベットのOと数字の0は見分けが付きにく場合があります。
アルファベットのlと数字の1も同様です。
とくに手書きで書くとわかりにくいことがありますから、しっかりと明記しておくと良いかと思います。
デジタル終活整理の方法④デジタル遺品リストノートを作成する
デジタル遺品リストノートは、遺言書とは異なり法的な効力はありませんが、その代わりメモ帳代わりとして気軽に利用することができます。
デジタル遺品の整理を終えたら、デジタル遺品リストノートを作成し、まとめておくのがよいでしょう。
一度デジタル遺品リストノートを作成してしまえば、そこに追加してメモしていくだけでよいのでデジタル遺品の整理を行いやすくなります。
また、デジタル遺品リストノートは自分が亡くなったあとに遺族に見つけてもらわないといけないので、見つけてもらいやすいところに保管しておいた方がよいでしょう。
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デジタル遺品整理の注意点とは?
デジタル遺品整理の一環で、いらないデータの削除やアカウントの退会を行ったあと、必要なものだとわかったら、復元に時間と手間がかかりますし復元できないものもあり困るでしょう。
デジタル遺品整理を行ったために、大きな損害を被ってしまったら本末転倒です。
そうならないように、復元が難しいデータの削除などは慎重に行うように注意しましょう。
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まとめ
デジタル終活ことデジタル遺品の整理は認知度はまだ低いですが、今後徐々に必要性が認識されるようになるでしょう。
自分が亡くなったあと、残された人に迷惑がかからないようにするためにデジタル遺品の整理はしなければならないことです。
デジタル遺品の整理は、高齢になって体の調子が悪くなってから行うのではなく、できるだけ早くデジタル遺品リストノートを作成し、日頃から定期的にデータ整理することをおすすめします。